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運命に逆らったシチリアの少女

c53bf8bf.jpeg監督:マルコ・アメンタ
出演:ヴェロニカ・ダゴスティーノ、ジェラール・ジュニョ、マルチェロ・マッツアレーラほか
allcinema→「運命に逆らったシチリアの少女」

≪あらすじ≫80年代、イタリア、シチリア。警察はほとんど権限をもたず。マフィアがすべてを取り仕切っていた。少女は優しい父が大好きだったが、マフィアのボスだった父は目の前で暗殺される。それが叔父の仕業と知り、少女と兄は復讐を誓うも、兄も数年後に返り討ちにあう。身の危険にさらされた少女はある決断をするのだが・・・

事実をもとにした映画。

あくまで主人公の少女の視点で進んでいくので、最初は全貌がよくわからず。成長に伴って、叔父の仕業で自分たちが危ういと悟っていく。

信じていた叔父に裏切られ、母は戦いを放棄する。彼女を理解して共に戦おうとする者は周りにいない。
少女のキャラクターがかたくなで、見ててなかなか共感しにくいのですが、上記のことを思えば仕方ない。

後世からみれば町の者みんなが立ち上がればマフィアだって排除できるんじゃないか、と簡単に思ってしまいそうだ。しかし実際に支配される側に慣れてしまうと、なかなかその状況を抜け出そうとしないばかりか、解放しようと考えるものを異端扱いしてしまうってこともあるだろう。
そんななかで奮い立った少女は稀有な存在だ。

当初は父の仇を討ちたい、が動機だったが、大好きだった父も嫌悪するマフィアだったと認めざるを得ないのが、きっと少女にとって一番つらいことだったんじゃないか。そこを乗り越え、理不尽な暴力に対抗するんだと考えが変わっていったのは彼女自身の成長だった。辛い選択だけれど自分で運命を選んだ人は堂々としてて後悔がない。
できることなら島の人々が立ち上がってくれるのがもう少し早かったら・・・。過ぎたことを今言っても詮無いな。

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ブラックブック

f561c863.jpeg監督:ポール・ヴァーホーデン
出演:カリス・ファン・ハウテン、トム・ホフマン、セバスチャン・コッホほか
allcinema「ブラックブック」

≪あらすじ≫1944年。ドイツ政権下において、ユダヤ人のラヘルは家族を殺されて隠れていた。その後同様にナチス軍に圧政をしかれていたオランダで、彼女はレジスタンスと合流し、素性を偽ってドイツ将校の愛人となりスパイ活動を始める。しかしいつしか彼女は将校を愛し始め、自身の家族が殺された裏事情を知ることに。ブラックブックとはなんなのか。1945年の5月にドイツは降伏すると誰も知らずに・・・


ヨーロッパの人たちが見れば、顔だちを見ただけでいくらか国籍も見当つくのかもしれないが、私はあまりわからず、ドイツ将校とレジスタンスのどっちがどうかがたまに迷う。

さて。財産や家族だけでなく失った彼女が最後にたどりつくのは衝撃の真実。
次々彼女を襲う困難や試練にもへこたれない強さに感服。

数学者ピーター・フランクルの両親は収容所に送られた経験から、息子に「頭の中は誰にも奪われることはない」と教えたそうだ。
強い意志と知恵。そして倫理観。生き残るには学歴うんぬんでなくそこが大事よね。

しかし一度失われたものは帰ってくることはない。爽快と言い切れないのが空しい。
彼女たちが求めていたのは、平穏な静かな日々。ただそれだけだ。
 

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麦の穂をゆらす風

mugi.jpg監督:ケン・ローチ
出演:キリアン・マーフィー、ポードリック・ディレーニーほか
麦の穂をゆらす風 - goo 映画

≪あらすじ≫ アイルランド、1920年。テディとデミアンの兄弟は、アイルランドでもインテリ層で、デミアンはロンドンで医師になる将来が待っていた。しかしイギリス支配から独立しようというアイルランド義勇軍(=IRA)の衝突は激しくなっており、彼ら兄弟もその波に身を投じることになる。アイルランドは条件付きの独立を勝ち取ったが戦いはそこで終わらなかった。IRA内部での主張の対立が内戦へと発展していく・・・



カンヌ映画祭最高賞(パルムドール)受賞作品。

イギリス映画や、アメリカ映画でもIRAが登場することはありまして、恐ろしいテロリスト集団だと思われてるようだな、と薄ぼんやりの認識しか抱いていなかったんですが、現在も完全に決着してるわけでもないようで。

あまりにも悲劇的な展開。淡々と、やたらとお涙的にも作られてないために、この映画の兄弟のようなことは珍しいことではなかったのかもしれないと思ってしまい、ますますやりきれない。

発端はさかのぼるのが困難なほどにイギリスとアイルランドの不仲は歴史的に古いもの。
憎しみは憎しみを生むだけだからどこかで赦さねば、と頭では理解しようとしても。目の前で、名前を答えなかっただけで息子が惨殺されたら、憎まずにいられるとはとても思えない。生きていくために裏切ったりする者の気持ちも想像できる。しかし理不尽に対抗して正義を貫くはずが、幼馴染を処刑しなければならなかったりと負の連鎖が続いていくのは、もう何が正しくて間違ってるかなんて簡単にいえる話じゃなくなっている。

とはいえどこかで止めなくては全滅しか道はなくなってしまう。政治的な面からしたら、富めるイギリスと貧するアイルランドの図式で、最大限の条約を取り付けたといえる気がする。が、感情的にはそれを飲めない人々の反発もわかる。
ほかになにか方法は無かったのか・・。安全な場所から、高見から観てるからそう考えてしまうが、自分もそこへ立っていたならどういう決断を下すか。いろんな思いで揺れてしまう。
もともとは豊かな実りをもたらす、自分たちの耕した土を、権利を守ろうとみんなが立ち上がっただけのシンプルな思いだったはずなのに。


武力での応酬にまで発展しないうちに、政治で、経済で、平和に話がつけられるように。歴史から学んで同じことを繰り返さないようにしなくては。選挙かならず行きましょう。人がたくさん死んで解決なんて、キレイに割り切れやしないのだ。
 

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オズ はじまりの戦い

oz.jpg監督:サム・ライミ
出演:ジェームズ・フランコ、ミシェル・ウィリアムズ、レイチェル・ワイズ、ミラ・クニスほか
公式サイト→「オズ はじまりの戦い」

≪あらすじ≫旅のサーカス一座で働いてるマジシャンオズ。女たらしでたいして実力もない彼は、敬愛されるような存在になりたいと願ってはいるものの、しょぼい日々を送っている。ところがある日竜巻にまかれて異世界へ降り立ったオズ。そこで伝説の魔法使いだと誤解され・・・


「オズの魔法使い」シリーズに登場する、偉大な魔術師オズの誕生に焦点を当てた物語。

わたしは昔からオズが好きでして。予告を映画館で見たときにカラフルさに圧倒されたのもありこれは観たいなと。

原作にない話なものでイメージと違う!なあんてぶつくさ思うこともなくすんなり入り込めました。
前半はそんなにひきつける要素も少なく。というかカワイイのセンスが微妙にアメリカ人と異なってるので「カワイイ・・・かなああ?」と思わなくもないキャラクターもいたりで、みていて物足りなさがあったのですが。
何しろ最初は白黒銅版画の挿絵の世界から、極彩色の美しい絵本の世界に移行するような、絵がとにかくきれいできれいで。
絵を見るぶんだけでもまあいいか、と思えるほどです。


これが後半に入りましてクライマックスにいたっては、その爽快さたるや拍手したいくらいでして、さすがディズニー映画やと。もうクライマックスだけで、前半の微妙さは帳消しにしていいくらい。

いやあ、自分が子供の時に見たかった。絶対リピーターになってますね。

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ボクたちの交換日記

 監督:内村光良
 出演:伊藤淳史、小出恵介、長澤まさみ、ほか
 公式サイト→「ボクたちの交換日記」


 ≪あらすじ≫田村と甲本は高校以来の友人で、長年コンビをくんできたお笑い芸人。泣かず飛ばずの状態を脱するために、理解を深めようと交換日記を始める。二人は意気込んでお笑い芸人の大会優勝を目指して、出場するのだが・・・


芸人さんというのも漫画業界と似た側面があって、見てて身につまされる流れ。 実力社会って厳しい。
いろいろ認めなくてはならない事態がふりかかってくる。
さらに芸人となると嫌でもテレビつけたら目に入る。キツイよなあ・・・。


んーでも、私はもっと言葉を削ってもらいたかった。交換日記だから言葉で言っちゃうのは当然の流れかなあ。気持ちを言葉で説明しちゃうんだと演技してるのにもったいない気が。

その点を考えると、映像より漫画に向いてるかもしれないと感じました。

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プロフィール

HN:
藤井みつる
HP:
性別:
非公開
職業:
漫画家
趣味:
映画鑑賞と寝ることと城
自己紹介:
好きな映画
……《邦画》 太陽を盗んだ男、鬼畜、穴、切腹、キッズ・リターン、しとやかな獣、蝉しぐれ、クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲、築城せよ!、MIND GAME、ジャズ大名
……《洋画》 新しき世界、ニューシネマパラダイス、リトル・ダンサー、バベットの晩餐会、暗くなるまで待って、オールド・ボーイ、グラン・トリノ、バーバー、キリクと魔女、ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ、ペーパー・ムーン、アパートの鍵貸します、トイ・ストーリー、ブラス!、デリカテッセン、ベルヴィル・ランデブー、カイロの紫のバラ、ヘドヴィグ・アンド・アグリーインチ、死刑台のエレベーター、オーケストラ!、アンプロフェット、ゴッド・ファーザー、ユージュアルサスペクツ、ドリームガールズ、ブルース・ブラザース、バグダッド・カフェ、シザーハンズ、善き人のためのソナタ、レザホアドッグス、クール・ランニング、ぼくのエリ200歳の少女、ペテン師とサギ師~だまされてリビエラ~、アーティスト

 

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