出演:キリアン・マーフィー、ポードリック・ディレーニーほか
麦の穂をゆらす風 - goo 映画
≪あらすじ≫ アイルランド、1920年。テディとデミアンの兄弟は、アイルランドでもインテリ層で、デミアンはロンドンで医師になる将来が待っていた。しかしイギリス支配から独立しようというアイルランド義勇軍(=IRA)の衝突は激しくなっており、彼ら兄弟もその波に身を投じることになる。アイルランドは条件付きの独立を勝ち取ったが戦いはそこで終わらなかった。IRA内部での主張の対立が内戦へと発展していく・・・
カンヌ映画祭最高賞(パルムドール)受賞作品。
イギリス映画や、アメリカ映画でもIRAが登場することはありまして、恐ろしいテロリスト集団だと思われてるようだな、と薄ぼんやりの認識しか抱いていなかったんですが、現在も完全に決着してるわけでもないようで。
あまりにも悲劇的な展開。淡々と、やたらとお涙的にも作られてないために、この映画の兄弟のようなことは珍しいことではなかったのかもしれないと思ってしまい、ますますやりきれない。
発端はさかのぼるのが困難なほどにイギリスとアイルランドの不仲は歴史的に古いもの。
憎しみは憎しみを生むだけだからどこかで赦さねば、と頭では理解しようとしても。目の前で、名前を答えなかっただけで息子が惨殺されたら、憎まずにいられるとはとても思えない。生きていくために裏切ったりする者の気持ちも想像できる。しかし理不尽に対抗して正義を貫くはずが、幼馴染を処刑しなければならなかったりと負の連鎖が続いていくのは、もう何が正しくて間違ってるかなんて簡単にいえる話じゃなくなっている。
とはいえどこかで止めなくては全滅しか道はなくなってしまう。政治的な面からしたら、富めるイギリスと貧するアイルランドの図式で、最大限の条約を取り付けたといえる気がする。が、感情的にはそれを飲めない人々の反発もわかる。
ほかになにか方法は無かったのか・・。安全な場所から、高見から観てるからそう考えてしまうが、自分もそこへ立っていたならどういう決断を下すか。いろんな思いで揺れてしまう。
もともとは豊かな実りをもたらす、自分たちの耕した土を、権利を守ろうとみんなが立ち上がっただけのシンプルな思いだったはずなのに。
武力での応酬にまで発展しないうちに、政治で、経済で、平和に話がつけられるように。歴史から学んで同じことを繰り返さないようにしなくては。選挙かならず行きましょう。人がたくさん死んで解決なんて、キレイに割り切れやしないのだ。
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