監督:トラン・アン・ユン
出演:松山ケンイチ、菊池凛子、水原希子ほか
12月11日より公開
《あらすじ》 70年代。学生運動が激しく繰り広げられていた中で、運動には加わらず、仲間も特に作らず過ごしていた僕・渡辺。彼は東京で高校時代の自殺した親友の彼女=直子と再会する。二人は結ばれるが、翌日彼女は姿をくらまし、渡辺の前には別の女性ミドリが現れる…
あんまりにも有名なので読んだ気になってました。売れましたねえ…。
映画で観たところ登場人物がどいつもこいつもめんどくさい。
直子は病があるから仕方ないとしても、ミドリまでも「私が今何考えてるかわかる?」て。いちいち当てなきゃなんないのか~渡辺大変だなあ~。緑役の水原さんは女優としては新人さんですが、透明感があってうっとりします。純日本というよりアジアンテイストの感じ。雰囲気の美しい方だ。
たぶん文面として読むぶんには違和感なく美しい言葉であっても、実際の人間が口にすると台詞もだいぶ印象が変わってしまう、そんな事態になってるのではないでしょうか。映像化が難しい原作なのではと想像。
とにかく人生にも恋愛にも道歩いてても家の中でも彼らはウロウロしっぱなし。少し落ちつかんかーい。
最終的に大人になることを受け入れていくものと、できない者とで道が大きく別れてしまう。できないというより大人になりたくないのだ。死んだ彼のいた時代で時間を止めたいのだから。愛と義務と贖罪の間をやはりウロウロウロ。永遠の愛はいったいどこにあるのか。見つけられるのか。ウロウロオロオロ。
ところでうまいこと分泌されないならオリーブオイルで代用ってのはダメかなあ。やる気は満点なのに。そういうことじゃないんだよ!と本気で怒られそうです。
どことなくマザコンの匂いを感じた。病弱なママを嬉々として訪ねていくような。年老いた母の介護を一人でする息子のような。そんな説明もないし狙ってるわけでもなさそうなので、まったくの個人的な印象であります。
随所に食事シーンや匂いを嗅ぐ場面もあり、五感の感覚が特別鋭いように思いました。そのへんは普遍の対極にある肉の感覚なように思えて面白かったです。複数回あるセックスシーンもその一環なように思います。
心象風景群が印象的。象徴的な形が。色が。まるで絵画のようでした。映像とにかく綺麗です。