監督:田中光敏
出演:西田敏行、大竹しのぶ、椎名桔平、寺島進ほか
公開中
戦国時代。織田信長に突然安土城建設をもうしつかる宮大工がいた。築城まで3年を要したその裏には、己の情熱を傾けた職人やその妻たちがいた…
城好きと公言するならこれは観なくてはいけないでしょう。
現在お城と聞いてイメージする、あの、天守閣を持ってる建物。
あの原形。天主のある城を初めて作ったのが信長です。ついでにシャチホコも。その後各地で作られた天守閣とも一線を画す奇天烈さです。天主に住んだのも信長だけ。
当時の宣教師もビックらこいた記録が残っています。
さて、当時の人にとっては観たことも聞いたこともないワケわからんものを作れというのがこの映画に描かれているお話。
一言で言うならパンフレットにもあるように、戦国版プロジェクトX。
私はこういう職人魂がほえるものが大好物であります。
石工、宮大工、杣など職人が登場しますが、中でも出色のエピソードは山の木を管理している杣と、宮大工のくだり。武田の領地にあるヒノキを譲ってもらいに宮大工が行くのですが、杣的にはそんなことしたら自分の首が飛ぶ。だから適当に茶を濁してやりすごすつもりだったのが、宮大工は強引に素晴らしい木を発見してしまう。何しろ伊勢神宮におさめるために大事にとってきたヒノキ。当然おいそれと簡単に渡すわけにはいかない。
しかし頑として譲らない宮大工。惚れこんでしまってる様子に杣も心動かされてある約束をしてしまう。
伊勢神宮っすよ。日本で神宮を名乗っていいと許されているのは少ない。中でも伊勢新宮は神道の大元とされていて別格。そこに収める予定のヒノキっつったら大変なことです。もちろん宮大工ならその重大さがわかってないはずない。しかし、それでも、天下一の木を天下一の城の柱にしたいと頼みこむわけで、わが子のようにヒノキを育ててきた杣がうれしくないはずがない。
職人さんといい、アスリートといい、信念をもってトップを走ってる人たちには国境なんて関係なく、わかりあえるもんがあるんですね。
これほどの力を注いで作った城もわずか3年で焼け落ちてしまうのですが…もったいない。
歴女でも戦国武将限定ではまってる方には物足りないかもしれません。合戦シーンありません。
安土城建築にかかわった職人たちの群像劇だから地味ではある。私はオープニングでぞくぞくしました。私の父が大工でして。
最近悪役を演じるようになってから特に椎名桔平さんが気になっております。かっこよかった。
水野さんにはびっくらこいた。
ところで何年か前、安土にある城郭資料館と考古学博物館に行って見たときには、模型が確か吹きぬけで作られてたと思うんだが、これは研究でもはっきりしていないの?吹き抜けがあったのか無かったのか。
勉強せねば。
作中にライトアップ安土城が登場します。実際戦国時代安土城はライトアップされて、夜の琵琶湖に映りこみ、遠目にも闇夜に浮かび上がって綺麗だったそうな。この絶景をぜひ大きいスクリーンで!
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